車いすでずり落ちる・姿勢が崩れる原因と調整方法|まずフットサポートの高さを見直す

「車いすに座らせても、すぐにお尻が前に滑ってきてしまう」「体が横に傾いてしまう」——在宅の介護でよく聞く悩みです。

この多くは本人の姿勢保持能力の問題ではなく、車いすの調整が合っていないことが原因です。長時間座る方ほど、調整の差がそのまま体への負担になります。

この記事では、症状別の原因と、車いすのどこをどう調整すればよいかを整理します。

この記事でわかること

  • ずり落ち・傾き・前傾の原因と対処
  • 正しい座位姿勢の基準(3つの90度)
  • フットサポート・アームサポート・背張り・座面の調整の目安
  • クッションで解決できること/できないこと
  • 調整を誰に頼めばよいか

症状別・原因の見当をつける

症状よくある原因まず見るところ
お尻が前に滑る(仙骨座り)座面が深すぎる/フットサポートが低い/背張りが緩いフットサポートの高さ
体が横に傾く座面の張りが片側だけ伸びている/幅が広すぎる座面の張り・車いすの幅
前かがみになる背張りが張りすぎ/アームサポートが低い背張り・アームサポートの高さ
足が床につかない・ぶらぶらする座面が高い/フットサポートの位置が合っていない座面の高さ
肩が上がって窮屈そうアームサポートが高すぎるアームサポートの高さ

いちばん多いのは仙骨座り(ずり落ち)です。そしてその原因の多くは、フットサポートの高さが合っていないことにあります。足が浮いていると、体は前に滑って足を着けようとするからです。

正しい姿勢の基準は「3つの90度」

関節目安の角度
股関節(体と太もも)約90度
膝関節約90度
足関節(すね と 足の裏)約90度

横から見たときに、この3か所がおおむね直角になっているのが安定した座位です。まずこの形になっているかを確認してから、細かい調整に入ります。


ここからは、実際に調整できる箇所を見ていきます。

高齢者さんが歩行困難な場合は車椅子で移動することになりますが、その歩行困難な状況が続けば車いすの使用時間も長くなります。

そうすると車いす上での姿勢が正しいか正しくないかで高齢者さんへの負担が大きく変わってきます。

だれだって長時間イスに座っていることはつらいと思います。車いすも同じです。

なるべく負担がなく車いすに座っていただきたいですよね。


正しい姿勢で調整する車いすのポイントは

フットサポート

肘掛

張りの調整ができるものであれば、
背張り
座面

車いす自体の幅や座面の高さが調整できるタイプであれば
このように車いすの座面下側で調整できるものがあります。




これらのポイントをしっかりと調整して一番良い姿勢で車いすを使っていただきましょう。







 

各部位の調整の目安

フットサポート(足を乗せる板)

  • 足の裏がしっかり乗り、膝が約90度になる高さに
  • 高すぎると太ももが浮き、お尻に体重が集中して床ずれのリスクが上がる
  • 低すぎると足が届かず、前に滑る(仙骨座り)原因になる
  • 床からの高さは5cm以上確保する(段差や敷居に引っかからないため)

ずり落ちで悩んでいるなら、まずここを疑ってください。1段階変えるだけで座り方が変わることがあります。

アームサポート(肘掛け)

  • 自然に肘を置いたときに肩が上がらず、前かがみにもならない高さに
  • 高すぎると肩がすくみ、低すぎると体が前に倒れる
  • 移乗のときに跳ね上げ・着脱ができるタイプかも確認する

背張り(背もたれの張り調整)

背もたれがベルトで調整できるタイプなら、上下で張り方を変えられます。

  • 骨盤のあたり(下部)はしっかり張る…骨盤が後ろに倒れるのを防ぐ
  • 背中の中ほどは少し緩める…背骨のカーブに合わせる
  • 全体を張りすぎると前かがみになり、緩めすぎるとずり落ちます

座面の張り

長く使った車いすは、座面の布がハンモック状にたわんでいます。この状態だと体が中央に寄って、膝が内側に閉じ、姿勢が崩れます。

  • 張り調整ができるタイプなら締め直す
  • できないタイプなら、座面クッションで補正する

車いすの幅

幅が広すぎると体が左右に流れ、狭すぎると圧迫されます。お尻の左右に手のひらが1枚ずつ入る程度が目安です。幅が調整できるタイプであれば合わせます。

座面の高さ

調整できるタイプなら、足がしっかり床またはフットサポートに着く高さに合わせます。自分で足こぎをする方は、かかとが床に着く低めの設定にします。

クッションで解決できること・できないこと

クッションで対応
座面のたわみ補正できる
お尻の圧の分散(床ずれ予防)できる
骨盤が後ろに倒れるのを防ぐ前が高い形状のものである程度できる
フットサポートの高さ不足できない(本体の調整が必要)
車いすの幅が合っていないできない

注意点として、クッションを入れると座面が高くなるため、フットサポートの高さも合わせて調整し直す必要があります。クッションだけ足して終わりにすると、かえって足が浮いてしまいます。

調整は誰に頼めばいいか

  • 福祉用具専門相談員…レンタル事業所の担当者。車いすの構造を把握しており、調整もその場でしてもらえます
  • 理学療法士・作業療法士…デイサービスや訪問リハビリを利用しているなら、姿勢の評価を依頼できます
  • ケアマネジャー…まず相談する窓口。事業所やリハビリ職につないでもらえます

介護保険でレンタルしている車いすであれば、調整は基本的に無料です。合わないまま使い続けず、遠慮なく連絡してください。少なくとも半年に1回は見てもらうことをおすすめします。

よくある質問

Q. ずり落ちるので体をベルトで固定してもいいですか?

A. まず調整で解決できないかを試してください。体幹ベルトの使用は身体拘束にあたる場合があり、慎重な判断が必要です。原因の多くはフットサポートの高さや背張りにあります。

Q. 車いすは介護保険でレンタルできますか?

A. できます。原則要介護2以上が対象で、要介護1以下は例外給付の手続きが必要です。クッションも「車いす付属品」としてレンタルできます。

Q. 自分で調整してもいいですか?

A. アームサポートやフットサポートの高さなど、工具なしで変えられる範囲はご家族でも調整できます。ただしボルトを外す調整は事業所に依頼してください。締め方が甘いと走行中に外れる危険があります。

Q. 座っている時間はどれくらいまでが目安ですか?

A. 連続して座り続けるのは2時間程度までを目安に、姿勢を直したり、いったんベッドに戻ったりする時間を作ってください。自分で座り直せない方は、介助でお尻を浮かせる(プッシュアップ)だけでも圧が抜けます。

まとめ

  • ずり落ちの多くはフットサポートの高さが原因
  • 目安は股関節・膝・足首の3つが約90度
  • 背張りは骨盤側をしっかり、背中側は緩めに
  • 座面のたわみはクッションで補正できるが、その分フットサポートも上げ直す
  • レンタル品なら調整は無料。半年に1回は見てもらう

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車いすでの外出や通院の付き添いは、姿勢の調整以上に人手が必要になる場面です。介護保険では対応しきれない外出や、家族が動けない時間帯を埋めたいときは、保険外の在宅介護という選択肢もあります。
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