歩行器のブレーキが効かなくなる4つの原因|タイヤがすり減ると効いていても止まりません

歩行器・歩行車で怖いのは、ブレーキが効かなくなっていることに気づかないまま使い続けることです。

下り坂で止まらない、座ろうとしたら本体が動いた——事故は「効いているつもり」だったときに起こります。

ただ、ブレーキの効きが落ちるのは徐々にです。毎日見ているご家族なら、その変化に気づけます。そしてレンタルであれば、調整も部品交換も機種変更もすべて無料です。

この記事では、家族が確認できるポイントを、実際の点検項目に沿って整理します。

この記事でわかること

  • ブレーキが効かなくなる4つの原因
  • タイヤがすり減ると、ブレーキが効いていても止まらないという盲点
  • 前輪に髪の毛やほこりが絡まるという家庭でよくある不具合
  • 高さは体の状態が変われば変えるもの
  • 気づいたときに誰へ連絡すればよいか

ブレーキが効かなくなる4つの原因

原因何が起きているか
タイヤのすり減りタイヤを押さえる金具がしっかり当たらず、ブレーキが甘くなる
ブレーキワイヤーの伸びレバーを握っても力が伝わりきらない
調整ダイヤルのずれそもそも調整が甘い状態になっている
タイヤと床が滑るブレーキ自体は効いているのに止まらない(次で詳しく説明します)

ここからは、それぞれの点検項目を見ていきます。

歩行器が今後も安全に使用できるかをモニタリングする際に見るべき一般的なポイントになります。


①まずは、ブレーキがしっかりかかるかチェック

ブレーキのかけ方は歩行器の種類によって違うため一概には言えませんが、

・タイヤに摩擦をかけるタイプはタイヤがすり減りすぎるブレーキによってタイヤを抑える金具がしっかりと抑えることができず、ブレーキが甘くなります

・ブレーキのワイヤーが伸びていることでブレーキが甘くなる

・ブレーキの調整のダイヤルがそもそも甘い

など、タイヤやワイヤー、ブレーキの調整ダイヤルを見ましょう。

また、

タイヤのすり減りが多すぎるとタイヤに摩擦が起きず、ブレーキはしっかりかかっていたとしても床とタイヤが滑って止まらないということもあります。



②駐車ブレーキもしっかりかかるかチェック

駐車ブレーキはブレーキと連動している場合が多いため、ブレーキが甘い理由と同じように、タイヤの劣化やワイヤーが甘い、調整ダイヤルが間違っているということがあります。

このように、タイヤにブレーキのためのストッパーが少し食い込んでいれば、ブレーキはかかります。

※ブレーキのチェックと同様、ストッパーはしっかりとかかっていても、タイヤがすり減りすぎて摩擦が起きず、タイヤと床とで滑る場合もあります。


③前輪のタイヤの動きをチェック

髪の毛やほこりがタイヤに絡まって方向を変えるための回転やタイヤ自体の回転が悪い場合があります。

一旦タイヤを外し、絡まった髪の毛やほこりを撤去しましょう。


④折りたたみは正常にできるかをチェック


折りたたみ時に歩行器のフレームが曲がっていたり、滑りが悪く折りたたみの動作が硬い、といったことがあります。

曲がっていたら交換し、滑りが悪い場合は摩擦が起きている部分に油をさすなどの対応をしましょう。


⑤歩行器についているオプション関連がしっかりと取り付けられているかチェック


「カゴがない」や「杖たてがない」といったことはたまにあります。もし使わない場合はしっかりと保管していただくか、こちらで保管をします。


 ⑥歩行器自体の汚れ具合をチェック

ホコリや泥などであまりにも汚れている場合は交換して、気持ちよく使っていただくのも良いと思います。


⑦歩行器の高さなど、使い勝手の変化をチェック

「少し高さを上げて背筋を伸ばしたい」や「円背が進んで高さを下げたい」など、身体状況の変化により歩行器の高さも変わります。変化があれば高さ調整も再度行いましょう。



以上、歩行器のモニタリングで一般的に気をつける点でした。その他にも歩行器の機能によって個別に対応が違う場合があります。たとえば抵抗器や抑速ブレーキがついていたり、電動アシストがあったりと

歩行器自体の特徴を理解し、ご利用者様の身体状況も理解してアセスメントを行うことが大切です。







【盲点】ブレーキが効いていても止まらないことがあります

点検項目①②で触れた内容ですが、ここは非常に重要なので改めて説明します。

タイヤのすり減りが多すぎると、タイヤに摩擦が起きなくなります。その結果、ブレーキがしっかりかかっていても、タイヤと床が滑って止まらないという状態になります。

これは駐車ブレーキでも同じです。ストッパーはしっかり食い込んでいるのに、タイヤごと床を滑っていく——座ろうとした瞬間にこれが起きると、そのまま転倒します。

確認方法
駐車ブレーキをかけた状態で、ハンドルを前後に押してみる
本体がずるずると動くなら、タイヤが滑っています
とくにフローリング・タイル・濡れた路面で確認してください

「ブレーキのレバーは硬いのに動く」なら、ブレーキではなくタイヤの問題です。この状態は自分では直せません。連絡してください。タイヤ交換か機種変更で対応します。

前輪に髪の毛やほこりが絡まっていませんか

点検項目③の内容です。家庭でもっとも起こりやすい不具合がこれです。

髪の毛やほこりがタイヤに絡まって、方向を変えるための回転やタイヤ自体の回転が悪くなります。

  • まっすぐ進まない、片側に寄っていく
  • 方向転換のときに引っかかる
  • 押すのに以前より力が要る
  • ガタガタと音がする

「最近押しにくくなった」と本人が言うとき、体力が落ちたのではなく歩行器が原因ということが実際にあります。前輪を覗いてみてください。

取り除くにはタイヤを外す必要があるため、ご家族が無理に分解する必要はありません。「前輪の回りが悪いです」と伝えれば対応してもらえます。

折りたたみが硬くなったら

点検項目④の内容です。折りたたみにくくなる原因は2つあります。

原因対応
フレームが曲がっている交換が必要(直りません)
滑りが悪くなっている摩擦の起きている部分の処置で改善する

フレームの曲がりは、転倒や強い衝撃のあとに起こります。「一度倒したことがある」「車に積むときにぶつけた」といった心当たりがあれば、必ず伝えてください。曲がったまま使うのは危険です。

なおご家庭で油を差すのは避けてください。種類によっては樹脂部品を傷めますし、油がほこりを呼び込んで悪化することがあります。

カゴや杖立てがなくなっていませんか

点検項目⑤の内容です。「カゴがない」「杖立てがない」ということはたまにあります。外したまま片付けてしまい、そのまま忘れているケースです。

使わないなら無理に付ける必要はありませんが、紛失すると返却時に困ります。使わない部品は保管しておくか、事業所に預かってもらってください。

逆に「杖立てが付いていることを知らなかった」という方もいます。杖を併用しているなら、付いているか確認してみてください。

高さは体の状態が変われば変えます

点検項目⑦の内容で、ここはもっとも見直しの価値がある項目です。

体の変化高さの調整
背筋を伸ばして歩きたい少し上げる
円背(背中の丸まり)が進んだ下げる
肩が上がって窮屈そう下げる
前かがみになっている上げる

目安は立ったときに肘が軽く曲がる高さです。歩行器を押している姿を横から見て、肩がすくんでいないか・前かがみになっていないかを確認してください。

体の状態は少しずつ変わります。納品時に合っていた高さが、今も合っているとは限りません。

汚れも遠慮なく伝えてください

点検項目⑥の内容です。ホコリや泥であまりにも汚れている場合は、交換して気持ちよく使っていただくという対応もできます。

毎日使うものです。清潔なものを使うことは、使い続ける気持ちにも関わります。汚れが落ちなくなってきたら、そのまま伝えてかまいません。

機種によって確認する点が変わります

歩行器には、抵抗器や抑速ブレーキが付いているもの、電動アシストが付いているものなど、さまざまな機能があります。機能に応じて確認する点も変わります。

  • 抑速ブレーキ付き…効きが強すぎて疲れていないか/弱すぎて坂で止まらないか
  • 電動アシスト付き…充電の状態、アシストの強さが合っているか
  • 座面付き…座面のぐらつき、駐車ブレーキの習慣

これらは福祉用具専門相談員が機種の特徴を踏まえて確認します。ご家族は「使っていて気になること」を伝えるだけで十分です。

家族のチェックリスト

見るところ頻度
駐車ブレーキをかけて押してみる(滑らないか)週1回
ブレーキレバーの効き(握る量が増えていないか)週1回
前輪に髪の毛・ほこりが絡んでいないか月1回
タイヤのすり減り月1回
折りたたみの硬さ使うたび
押している姿勢(肩・背中)ときどき

よくある質問

Q. 調整や部品交換にお金はかかりますか?

A. レンタル品の調整・部品交換・機種変更は無料です。月々のレンタル料以外の負担はありません。

Q. タイヤだけ替えられますか?

A. 事業所が対応します。ご家庭で市販品に交換しないでください。サイズや素材が合わないとブレーキが効かなくなります。

Q. モニタリングを待たずに連絡していいですか?

A. いつでも連絡してかまいません。ブレーキに関することは、次の訪問を待たずにすぐ伝えてください。

Q. 本人が「もう使いたくない」と言い出しました

A. 押しにくい、重い、恥ずかしい——理由はさまざまです。その理由をそのまま伝えてください。高さの調整や、より軽い機種・デザインの違う機種への変更で解決することがあります。

まとめ

  • ブレーキが甘くなる原因はタイヤのすり減り・ワイヤーの伸び・調整のずれ
  • タイヤがすり減ると、ブレーキが効いていても床を滑って止まらない
  • 確認は駐車ブレーキをかけて押してみる
  • 前輪の髪の毛・ほこりは家庭でよくある不具合。「押しにくい」の原因かもしれない
  • 折りたたみが硬いのはフレームの曲がりの可能性。倒した心当たりは必ず伝える
  • 高さは肘が軽く曲がる位置。円背が進んだら下げる
  • 調整・交換はすべて無料。ブレーキのことは待たずに連絡する

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