ベッドから車いすへ移るたびに、家族が抱えて介助している。
そのうち腰が痛くなり、一度は落としそうになってひやっとした。
そんな経験があると、次の介助がこわくなりますよね。
体がこわばって、動きもぎこちなくなります。
こうした場面で検討に上がるのが、移動用リフトです。
ただ、リフトは置けば解決する道具ではありません。
私は福祉用具の仕事に関わっていますが、リフトは借りる前の確認で結果が決まる道具だと感じています。
この記事では、種類と制度の分かれ目、家で使えるかを決める3つの確認をまとめます。
移動用リフトは大きく4つのタイプに分かれます
| タイプ | 特徴 | 気をつけるところ |
|---|---|---|
| 床走行式 | キャスターで動かす。部屋の中で移乗する場所を変えられる | 脚がベッドの下に入るか。畳やじゅうたんの上では動かしにくい |
| 据置式 | ベッドの周りに枠を置いて使う。工事がいらない | 移乗できるのは枠の中だけ。枠を置く広さが要る |
| 固定式 | 浴槽や床などに据え付けて使う。入浴用もある | 住宅の工事を伴うものはレンタルの対象外。賃貸なら原状回復を先に相談 |
| 天井走行式 | 天井のレールに沿って動く。床にじゃまなものが出ない | レールの取り付け工事が必要で、介護保険のレンタルでは借りられないことが多い |
在宅で介護保険を使って借りるなら、床走行式か据置式が中心になります。
本体はレンタル、つり具は購入です
いちばん間違えやすいのがここです。
リフト本体と、体を包むつり具(スリングシート)は、制度が分かれています。
- 本体…福祉用具貸与(レンタル)。原則として要介護2以上が対象です。
要支援1・2と要介護1の方は、例外として認められるかをケアマネジャーに確認してください。 - つり具…特定福祉用具販売(購入)。年間10万円の購入枠を使います。
肌に直接触れるため、レンタルになじまないという整理です。
つり具の支払いは、いったん全額を払って後で払い戻す方法が基本です。
最初から自己負担分だけ払える「受領委任払い」が使える市町村もあります。
もうひとつ注意があります。
名前に「リフト」と付いていても、つり上げる機能のない介助バーなどは制度上の移動用リフトではありません。
カタログの言葉より、担当の福祉用具専門相談員に区分を確かめるほうが確実です。
家で使えるかは、3つの確認で決まります
1. 置く場所と床の状態
床走行式なら、ベッドの下に脚が入る高さがあるかを見ます。12cm前後は必要になることが多いです。
方向転換できる幅があるかも大切です。
畳や毛足の長いじゅうたんでは、キャスターが重くなります。
2. 介助する人が毎回使えるか
つり具の装着は、慣れるまで時間がかかります。
忙しい時間帯に「抱えたほうが早い」と感じると、リフトは部屋の隅に置かれたままになります。
導入前に、実際に介助する方が2〜3回は自分で装着してみてください。
3. ご本人の体と気持ち
関節が固まって動きにくい(拘縮)、痛みが出やすい、宙に浮くのがこわい。
こうした場合は、つり具の種類を変えるか、リフト以外の方法を考えます。
ご本人が納得しないまま入れても、続かないことが多いからです。
向かない家庭もはっきりしています
- 部屋が狭く、リフトを回すスペースがない(ベッドの位置を変える検討から)
- 介助する人が1人なのに、2人での操作を前提にした機種を選んでいる
- 移乗が1日1〜2回で、手すりと立ち上がりの介助で足りている
福祉用具は「使えるもの」より「使い続けられるもの」を選ぶほうが、うまくいくと私は考えています。
試用(デモ)は遠慮せずお願いしてみてください。多くの貸与事業所が対応しています。
費用は本体が月1,000〜2,000円台、つり具は1枚1.5万〜4万円が目安です
本体のレンタルは機種で幅がありますが、1割負担の方で月1,000円台〜2,000円台が多いです。
つり具は1枚15,000円〜40,000円ほどです。
購入枠から、負担割合に応じた分が戻ります。
洗い替えのために、2枚そろえる方もいます。
金額は地域と機種で変わるので、見積もりを出してもらうと安心です。
【PR】リフトを入れても、移乗のたびに介助する人が必要なことは変わりません。ご家族が離れて暮らしている、日中はどうしても人がいない、という場合、介護保険のサービスだけでは時間も回数も足りないことがあります。自費のサービスなら「この曜日のこの時間だけ来てほしい」という頼み方ができます。
まとめ:本体とつり具の制度を分け、試用してから決めます
- 移動用リフトは床走行式・据置式・固定式・天井走行式の4タイプ
- 本体はレンタル、つり具は購入(年間10万円枠)と制度が分かれる
- 本体のレンタルは原則要介護2以上。軽度の方は例外にあたるか確認する
- 置く場所・介助する人・ご本人の気持ちの3点で決める
- 導入前の試用は必ず行う
まずは、ベッドの下に何cmのすき間があるか、メジャーで測ってみませんか。
それだけで、選べるリフトの幅が見えてきます。
出典:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」。制度の運用は市町村で異なる部分があります。実際の適用は、担当のケアマネジャー・福祉用具専門相談員にご確認ください。
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