シャワーチェアは種類が多く、何を基準に選べばいいのか分かりにくい福祉用具です。値段も数千円から3万円台まで幅があります。
選ぶときに見るべきポイントは、実は4つだけです。この記事では、その4点を整理したうえで、実際の商品を例に「高いシャワーチェアは何が違うのか」を説明します。
この記事でわかること
- シャワーチェア選びの4つのポイント
- 背もたれ・肘掛けは必要かの判断基準
- 高さの合わせ方
- 介護保険は購入(年間10万円枠)であること
- カビ対策と手入れ
選ぶときに見る4つのポイント
| ポイント | 判断の基準 |
|---|---|
| ① 高さ | 座ったとき足の裏が床につき、膝が約90度。立ち上がりが不安なら高めに |
| ② 背もたれ | 座位が安定しない/長く座る/洗髪時にのけぞる → 必要 |
| ③ 肘掛け | 立ち上がりに支えが要る → 必要。介助での移乗が多いなら跳ね上げ式 |
| ④ 座面の形 | お尻を拭く・洗う介助があるなら前方に切り欠きのあるもの |
とくに①の高さは、浴槽台と同じで最重要です。足が浮くと踏ん張れず、前のめりに転ぶ危険があります。逆に低すぎると立ち上がれません。
背もたれと肘掛けの落とし穴
「あったほうが安心」と考えがちですが、次の点に注意してください。
- 肘掛けがあると、横から乗り移りにくくなる…浴槽から直接移る動作をするなら跳ね上げ式を
- 背もたれがあると場所を取る…狭い洗い場では出し入れが負担になります
- 付いているぶん重くなる…毎回出し入れするなら重量も選定基準になります
自分で座っていられる方なら、背もたれなしのコンパクトなもののほうが使い勝手が良いこともあります。
ここからは、実際の商品を例に見ていきます。
パナソニックから発売された重量3,5kgの軽量シャワーチェアです。
片手で簡単に持ち上げることができます。
また、背中を包み込むような設計の背もたれも特徴です。
この商品の要点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重量 | 3.5kg(片手で持ち上げられる) |
| 背もたれ | 背中を包み込む設計。クッションの下で沈み込む構造 |
| 収納 | 折りたたみ可能。コンパクトになる |
| 使用者体重 | 最大100kgまで |
| 手入れ | 防カビ仕様。皮脂・垢が付きにくい |
| 定価 | 32,780円(税込) |
| 介護保険 | 入浴補助用具として購入対象 |
「軽い」ことの価値
3.5kgという軽さは、カタログ上の数字以上に効きます。シャワーチェアは使うたびに出し入れするものだからです。
重いチェアだと、出し入れが億劫になって浴室に置きっぱなしになり、カビの温床になります。介助する家族が高齢の場合はなおさらです。片手で持てるかどうかは、続けられるかどうかに直結します。
沈み込む背もたれ
クッションを剥がすと、直接プラスチックが当たる構造ではなく、沈み込むようになっています。従来のシャワーチェアにはなかった設計です。
背もたれに体重を預ける方ほど、この差が出ます。硬い背もたれだと、背骨や肩甲骨が当たって痛みが出ることがあるためです。
カビ対策
- 表面の防カビ仕様で、水気を拭き取るだけで繁殖を抑えられる
- クッション・脚ゴム部分も防カビ加工で、カビの根付きを予防
- 皮脂や垢が付着しにくく、掃除がしやすい(掃除時間30%削減とされています)
浴室で毎日使うものなので、手入れの手間は年単位で積み上がります。価格差の一部は、この手入れのしやすさに対するものだと考えてください。
介護保険は「レンタル」ではなく「購入」です
シャワーチェアは肌に直接触れるため、レンタルではなく特定福祉用具販売(購入)の対象です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分 | 特定福祉用具販売(入浴補助用具) |
| 対象 | 要支援1〜要介護5(要介護度の制限なし) |
| 限度額 | 年間10万円(4月〜翌年3月) |
| 自己負担 | 1割なら1万円まで(所得により2〜3割) |
| 購入先 | 指定を受けた事業者から購入すること |
32,780円のシャワーチェアなら、1割負担で実質3,278円です。
注意:ネット通販やホームセンターで買うと保険の対象になりません。同じ商品でも、都道府県の指定を受けた事業者から購入しないと支給されません。必ずケアマネジャーに相談してから購入してください。
年間10万円枠の使い方
入浴まわりで購入対象になるものは複数あります。枠は年度単位でまとめて使えるので、必要なものを整理して計画すると無駄がありません。
| 用具 | 役割 |
|---|---|
| シャワーチェア | 洗い場での座位・立ち座り |
| 浴槽台 | 浴槽のまたぎと、浴槽内での立ち座り |
| 浴槽用手すり | 浴槽のふちに挟んで固定。またぐときの支え |
| すべり止めマット | 洗い場・浴槽内の転倒防止 |
| 入浴用介助ベルト | 介助者が体を支えるとき |
壁への手すり取り付けや床材の変更は、こちらではなく住宅改修の20万円枠です。枠が別なので、両方を組み合わせられます。
よくある質問
Q. 普通のお風呂用の椅子ではだめですか?
A. 一般の風呂いすは座面が低く、脚のグリップも弱いものが多く、立ち上がりの支えにはなりません。介護用は高さがあり、脚ゴムで滑りにくく設計されています。
Q. 高さは何cmくらいがいいですか?
A. 一般に座面高35〜45cm程度で調整できるものが多くあります。数字よりも「実際に座って足の裏が床につき、無理なく立てるか」で決めてください。高さ調整できるものを選び、使いながら合わせるのが確実です。
Q. 折りたたみは必要ですか?
A. 洗い場が狭い、または家族と共用の浴室なら必要です。使わないときに立てかけておけるので、乾きやすくカビも防げます。
Q. 何年くらい使えますか?
A. 5〜10年程度が目安ですが、脚ゴムがすり減ったら交換してください。脚ゴムだけ別売りしている商品もあります。滑りが気になったら本体ごと買い替える前に、まず脚ゴムを確認しましょう。
まとめ
- 選ぶ基準は高さ・背もたれ・肘掛け・座面の形の4つ
- 高さは足の裏が床につき、膝が約90度が基本
- 肘掛けは立ち上がりに有効だが、横からの移乗の邪魔になることも
- 軽さは続けやすさに直結する(毎回出し入れするため)
- 介護保険は購入(年間10万円枠)。指定事業者から買わないと対象外
- 浴槽台・浴槽用手すりとまとめて計画すると効率的
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用具をそろえても、入浴の介助そのものは家族の負担が大きい部分です。デイサービスの入浴だけでは足りない、自宅の湯船に入れてあげたいという場合は、保険外の在宅介護で入浴介助を頼むという選択肢もあります。
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