特定福祉用具販売とは?対象6種目と年間10万円の枠・申請の流れ

福祉用具には借りるものと買うものがあります。肌に触れるもの、他の人が使ったものを使いたくないもの——これが購入(特定福祉用具販売)の対象です。

この記事では、対象になる種目、年間10万円という枠の使い方、そして申請の流れを整理します。

対象になる6種目

種目具体的には
腰掛便座据置式便座、補高便座、ポータブルトイレなど
自動排泄処理装置の交換可能部品レシーバー、チューブ、タンクなど肌に触れる部分
排泄予測支援機器膀胱の状態を検知して知らせる機器
入浴補助用具入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、すのこ、入浴台、介助用ベルトなど
簡易浴槽空気式・折りたたみ式などで、取水・排水の工事を伴わないもの
移動用リフトのつり具の部分リフト本体は貸与。つり具だけが購入

本体と部品で分かれるものがあります。移動用リフトは本体が貸与、つり具が購入。自動排泄処理装置も本体が貸与、交換可能部品が購入です。ここは間違えやすいところです。

2024年4月からの「選択制」

これまで貸与のみだった一部の用具について、貸与と販売を選べるようになりました。

選択制の対象注意
固定用スロープ可搬型(持ち運べるもの)は除く
歩行器歩行車は除く
歩行補助つえ松葉づえは除く。多点杖・カナディアンクラッチなど

「除く」の部分が現場でいちばん混乱します。歩行器は選べるが歩行車は選べない、つえは選べるが松葉づえは選べない——ここを説明できるようにしておいてください。

選択制では、福祉用具専門相談員またはケアマネジャーが、貸与と販売それぞれのメリット・デメリットを説明したうえで、利用者が選ぶことになっています。

年間10万円という枠

内容
上限年間10万円(同一年度)
期間の区切り4月1日〜翌年3月31日
自己負担原則1割(所得により2〜3割)
10万円を超えた分全額自己負担
要介護度要支援1から利用できます

4月1日リセットを意識してください。3月に購入すると、その年度の枠を使います。4月まで待てば新しい枠が使えます。

逆に、年度末に枠が余っているなら、必要なものを前倒しで検討するという考え方もあります。ただし使い切ることが目的になってはいけません。必要のないものを買っても、置き場所に困るだけです。

購入の流れ

  1. ケアマネジャーまたは福祉用具専門相談員に相談する
  2. 都道府県の指定を受けた事業者を確認する
  3. 専門相談員が福祉用具サービス計画を作成する
  4. 説明を受け、同意して購入する
  5. 市町村へ申請する

2番が最も重要です。指定を受けていない店(家電量販店、通販サイトなど)で買っても、介護保険の給付は受けられません。

「同じ商品がネットで安く売っていた」——それを買ってしまい、あとで給付が受けられないと分かるケースが本当に多いです。買う前に必ず相談してください。

支払い方法は2種類

流れ負担感
償還払いいったん全額を支払い、あとから市町村に申請して給付分を受け取る一時的に大きい
受領委任払い購入時に自己負担分だけ支払う。給付分は市町村から事業者へ軽い

受領委任払いが使えるかは、市町村と事業者によります。使えるなら、そのほうが立て替えが要りません。ケアマネジャーか事業者に確認してください。

選ぶときの注意

  • 買ったら交換できません … 状態が変わる見込みがあるなら、選択制のものは貸与のほうが安全です
  • サイズを実際に合わせる … 浴槽の縁の厚み、便座の高さ、洗い場の広さ
  • 置き場所を確認する … 使わないときにどこに置くか
  • 掃除のしやすさ … 毎日使うものは、家族が洗える形かどうか
  • 10万円の残りを確認してから … 年度内に別のものが必要になる可能性

1番目が判断の分かれ目です。選択制の3品目は、状態が安定しているなら販売、変わりそうなら貸与——この考え方が基本になります。

よくある失敗

  • 先に買ってしまい、給付が受けられない
  • 浴槽用手すりを買ったが、浴槽の縁の厚みが合わない
  • ポータブルトイレを買ったが、置く場所がなく使われない
  • 3月に急いで買い、4月にもう1つ必要になって枠が足りない
  • 選択制で販売を選んだが、数か月で状態が変わって合わなくなった

2番目は防げます。浴槽用手すりは、縁の厚みに対応範囲があります。カタログではなく、実物で確認してください。

よくある質問

Q. 中古品でも給付は受けられますか
特定福祉用具販売は、指定事業者から購入した新品が対象です。個人間の譲渡やフリマアプリでの購入は対象になりません。

Q. 手すりは購入の対象ですか
浴槽用手すり(浴槽の縁に取り付けるもの)は入浴補助用具として購入の対象です。一方、置き型手すりは貸与、壁に固定する手すりは住宅改修です。同じ「手すり」でも制度が3つに分かれます。

Q. 領収書はどうすればいいですか
申請に必要です。必ず保管してください。紛失すると再発行の手続きが必要になります。

Q. 買い替えはできますか
原則として、同一種目の再購入は認められません。ただし、破損した場合や、状態が著しく変化した場合など、市町村が認める事情があれば例外があります。自己判断せず、必ずケアマネジャーに相談してください。

まとめ

  • 購入の対象は腰掛便座・自動排泄処理装置の交換可能部品・排泄予測支援機器・入浴補助用具・簡易浴槽・移動用リフトのつり具の6種目
  • 2024年4月から固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・つえ(松葉づえを除く)が選択制に
  • 年間10万円、4月1日〜翌年3月31日。要支援1から使える
  • 都道府県の指定事業者から買わないと給付を受けられない。先に買わない
  • 支払いは償還払いと受領委任払い。使えるなら後者が楽
  • 選択制は状態が安定なら販売、変わりそうなら貸与
  • 同じ「手すり」でも浴槽用は購入・置き型は貸与・固定は住宅改修

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用具をそろえても、入浴や外出そのものを支える人手は別に必要になります。浴槽用手すりを付けても、実際に入るときに支える人がいなければ使えません。介護保険では対応できない付き添いや見守りは、保険外のサービスで補えます。ご家族の負担が限界に来る前に、選択肢として知っておくと楽になります。
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