車いすは「座れれば何でもいい」ものではありません。サイズが合っていない車いすは、ずり落ち・褥瘡・転倒の原因になります。
この記事では、種類の違いと寸法の合わせ方、そして介護保険で借りられる条件を整理します。
まず3種類を押さえる
| 自走式 | 介助式 | モジュール型 | |
|---|---|---|---|
| 誰が動かすか | 本人 | 介助者 | どちらもあり |
| 後輪 | 大きい(ハンドリム付き) | 小さい | 選べる |
| 幅・重さ | やや大きい・重い | 小さい・軽い | 仕様による |
| 介助ブレーキ | ないものが多い | 付いていることが多い | 選べる |
| 向いている方 | 腕の力があり、自分で移動したい | 移動はすべて介助。玄関や廊下が狭い | 体格が標準から外れる。姿勢が崩れやすい |
迷ったら、まず「本人がこぐか」で分けてください。こがないのに自走式を選ぶと、幅が広くて廊下を曲がれず、結局使われなくなります。
モジュール型とは
座幅・座面の高さ・アームサポート・フットサポートなどを調整できるタイプです。
- 小柄な方・大柄な方で既製サイズが合わない
- 片麻痺があり、片足でこぐ(座面を低くする必要がある)
- ずり落ちや傾きがあり、座面と背もたれの角度を調整したい
「合わないから諦める」の前にモジュール型を検討してください。調整で解決することが少なくありません。
寸法の合わせ方
| 部位 | 合わせ方の目安 | 合わないと起きること |
|---|---|---|
| 座幅 | お尻のいちばん広い部分+左右にそれぞれ2〜3cm | 狭い→擦れて痛い/広い→体が傾き、姿勢が崩れる |
| 座奥行き | お尻の後ろからひざの裏まで −3〜5cm | 長い→ずり落ちる/短い→太ももが支えられず不安定 |
| 座面の高さ | 足底が床や足台にしっかり着く高さ | 高い→足が浮いて不安定/低い→立ち上がれない |
| フットサポート | 床から5cm以上離す | 低い→段差で引っかかる |
| アームサポート | 座面からひじの高さ+2〜3cm | 低い→前かがみ/高い→肩がすくむ |
| 背もたれ | 自分でこぐなら肩甲骨の下まで | 高すぎると腕が動かせない |
いちばん多い不適合は「座奥行きが長すぎる」です。ずり落ちる方の車いすは、まずここを見てください。クッションを足す前に、寸法が合っているかです。
家の中を測ってから選ぶ
本人の寸法だけでは決まりません。通る場所が通れるかが先です。
- いちばん狭い廊下の幅
- トイレ・洗面所の入口の有効幅
- 廊下の曲がり角 … 直進できても曲がれないことがあります
- 玄関の上がりかまちの高さ
- 車に積むか … 積むなら折りたたみ寸法と重さ
3番が抜けがちです。カタログの全幅だけを見て買い、家の中で曲がれないという相談は本当に多いです。
介護保険で借りる場合
車いす(および車いす付属品)は福祉用具貸与の対象で、原則として要介護2以上の方が対象です。自己負担は原則1割(所得に応じて2〜3割)です。
| 扱い | |
|---|---|
| 要介護2〜5 | 貸与の対象 |
| 要支援1・2、要介護1 | 原則対象外。ただし例外的に認められる場合があります |
| クッション・電動補助装置など付属品 | 車いす付属品として貸与の対象 |
「要介護1だから無理」と決めつけないでください。状態によっては例外的な取扱いが認められる場合があります。判断が必要なので、ケアマネジャーと福祉用具専門相談員に相談してください。
納品時に必ず確認する5つ
- ブレーキが確実に効くか … 実際に座って、体重をかけて確認
- フットサポートの上げ下げを介助者ができるか
- 折りたたみ・展開を家族ができるか … 力の要る機種があります
- 実際に家の中を1周する … 曲がり角とトイレの入口を必ず
- 15分ほど座ってもらう … ずり落ちや傾きは短時間では出ません
5番を省かないでください。「座れました」で納品して、1週間後にずり落ちの相談が来る——という流れが最も多いです。
よくある失敗
- 体格に合わない大きめを選び、体が横に倒れる
- 自走式にしたが本人がこがず、幅だけ大きくなった
- クッションを足して座面が高くなり、足が床に着かなくなった
- 車に積むつもりが重すぎて出せない
- ブレーキのかけ方を家族が知らない
3番目は見落とされます。クッションを入れたら、その厚みぶん座面が上がります。足が浮けば、ずり落ちやすくなります。
よくある質問
Q. 買うのと借りるの、どちらがいいですか
状態が変わる可能性があるなら貸与です。合わなくなったときに交換できるのが最大の利点です。体格が特殊で長期に同じものを使う場合は、購入が向くこともあります。
Q. 電動車いすも介護保険で借りられますか
車いすの一種として貸与の対象になります。ただし屋外での操作や保管場所の確認が必要です。
Q. 病院で使っていたものと同じでいいですか
病院は床が平らで広い環境です。自宅では通れないことがあります。必ず自宅で試してください。
Q. 誰に相談すればいいですか
ケアマネジャーと福祉用具専門相談員です。カタログではなく、生活の場を見てもらったうえで選定してもらってください。
まとめ
- まず本人がこぐかで自走式・介助式を分ける
- 体格が合わない・姿勢が崩れるならモジュール型を検討
- 座幅は+左右2〜3cm、座奥行きはひざ裏 −3〜5cm、フットサポートは床から5cm以上
- 本人の寸法より先に、家の廊下・曲がり角・入口を測る
- 介護保険の貸与は原則要介護2以上。軽度でも例外的な取扱いがあり得る
- 納品時はブレーキ・家の中を1周・15分の座位まで確認する
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