トイレの立ち座りに不安が出てきたとき、手すりを付けたい。けれど便器の横に壁がない、あるいは壁はあるが下地がなくて付けられない——これは非常によくある状況です。
床置きタイプの手すりもありますが、狭いトイレではベースが床を占領して足の置き場がなくなることがあります。
そこで有効なのが便器そのものに固定するタイプです。工事も不要で、床にも何も置きません。
この記事でわかること
- トイレの手すり3方式の使い分け
- 便器固定式の取り付けの仕組みと設置条件
- U字手すりが加わることの意味
- レンタル料は1割負担で月500〜600円程度
トイレの手すり3方式を比べる
| 便器固定式 | 床置き型 | 壁付け工事 | |
|---|---|---|---|
| 壁 | 不要 | 不要 | 必要(下地も) |
| 床のスペース | 取らない | ベースの分だけ取る | 取らない |
| 工事 | 不要 | 不要 | 必要 |
| 掃除 | しやすい | ベースの下が拭きにくい | しやすい |
| 介護保険 | レンタル | レンタル | 住宅改修20万円枠 |
| 要介護度 | 制限なし(要支援1から) | 制限なし | |
狭いトイレでは、床を使わないことが決定的に効きます。床置き型のベースは、足を引く位置と重なることがあり、そうなると立ち上がりの動作そのものを邪魔してしまいます。
ここからは、実際の製品の仕組みです。
両側の手すりにプラスしてU字手すりがついたことにより、立ち座りをより安全に行うことができます。
介護保険でレンタル可能な商品でだいたい500~600単位になっています。
TAISコード: 01235-000225
購入の価格:128000円(税込140800円)になります。
設置できる条件
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 便器の裏に隙間があるか | バンドを通すため。ここが最重要 |
| 給水管の位置 | バンドが当たらないか。壁から出ている場合は要注意 |
| タンクの形状 | タンクレスや特殊形状は要確認 |
| 手すりを置く左右の幅 | 両側に手すりが来るため、その幅が要ります |
| ドアの開閉 | 内開きだと手すりに当たることがあります |
一般的なトイレであれば、ほぼすべて取り付けられます。ただし便器の裏に隙間がないタイプや、給水管が邪魔になる配置では設置できないことがあります。必ず現地を見てもらってください。
U字手すりが加わる意味
両側の手すりに加えて前方にU字の手すりがあることで、支えられる方向が増えます。
| 動作 | 両側の手すりだけ | U字手すりがあると |
|---|---|---|
| 座るとき | 横を握って腰を下ろす | 前を押さえながら下ろせる |
| 立ち上がるとき | 横を引き上げる | 前を押して立てる |
| 前に倒れそうなとき | 支えがない | 前方で受け止められる |
| 座位の保持 | 不安定になりやすい | 前でもたれられる |
とくに「引く」より「押す」ほうが力が入りやすい方には、前方の支えがあると立ち上がりが楽になります。腕の力が弱くなってくると、体を引き上げる動作は難しくなるためです。
また、便座に座っている間に前方に傾いてしまう方にとっては、U字手すりが転落を防ぐ役割も果たします。
取り付けの仕組み
ゴムバンドを便器の後ろに通して手すりに固定し、レバーを締めて留めます。ビスも工具も使いません。
- 便器に穴を開けない → 賃貸・公営住宅でも使える
- 取り外せる → 必要なくなれば元通り
- 床に何も置かない → 掃除がしやすい
ただし締め付けは緩んできます。定期的にレバーの締まり具合を確認してください。レンタルであれば福祉用具専門相談員が定期的に見に来るので、そのときに点検してもらえます。ぐらつきを感じたら、訪問を待たずに連絡してください。
費用
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 購入する場合 | 128,000円(税込140,800円) |
| レンタル料 | およそ500〜600単位/月 |
| 1割負担なら | 月500〜600円程度 |
福祉用具貸与は1単位=10円なので、500〜600単位はおよそ5,000〜6,000円。その1割で月500〜600円です。14万円の用具が月500円台で使えます。
介護保険での扱い
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分 | 福祉用具貸与「手すり(工事を伴わないもの)」 |
| 対象 | 要支援1〜要介護5(要介護度の制限なし) |
| 住宅改修の枠 | 使わないので20万円枠を温存できる |
トイレは1日に何度も使う場所です。ここで転倒すると、そのまま入院・寝たきりにつながりかねません。手すりは要介護度の制限なく借りられるので、「まだ大丈夫」と思ううちから使うのが結果的に安全です。
よくある質問
Q. 便器が傷みませんか?
A. 適切に設置すれば問題ありません。ただし締めすぎは破損の原因になります。取り付けは福祉用具専門相談員に任せてください。
Q. 温水洗浄便座でも使えますか?
A. 多くの場合使えますが、便座の形状やリモコンの位置によっては干渉することがあります。現地確認が必要です。
Q. 掃除のときは外せますか?
A. レバーを緩めれば外せます。ただし頻繁に着脱すると締め具合が変わるので、通常は付けたまま掃除できる範囲で行い、大掃除のときだけ外すのが現実的です。
Q. 立ち上がりだけでなく、便座への移乗にも使えますか?
A. 車いすからの移乗では、横方向の手すりが邪魔になることがあります。移乗が主な目的なら、跳ね上げ式の手すりや別の方式を検討してください。用途を福祉用具専門相談員に伝えることが重要です。
Q. ポータブルトイレとどちらがいいですか?
A. トイレまで歩けるなら、トイレを使えるようにするほうが良いとされています。移動そのものが活動になり、尊厳の面でも違います。歩けるうちは手すりで対応し、間に合わなくなってきたらポータブルトイレを併用する、という順序が一般的です。
まとめ
- トイレの手すりは便器固定式・床置き型・壁付け工事の3方式
- 狭いトイレでは床を使わない便器固定式が有利
- 設置条件は便器の裏の隙間と給水管の位置
- U字手すりで「押して立つ」ことができ、前方への転倒も防げる
- レンタル料は1割負担で月500〜600円程度
- 介護保険は手すり扱いで要支援1から。住宅改修の20万円枠を使わない
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トイレの環境を整えても、夜間の付き添いや排泄の介助は家族の負担が大きい部分です。介護保険のサービスだけでは足りない時間帯を埋めたいときは、保険外の在宅介護という選択肢もあります。
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