介護ベッド(特殊寝台)はモーターの数で選ぶと思われがちですが、実際にいちばん効くのは高さが変えられるかどうかです。
この記事では、モーター数の違い、幅と長さの選び方、マットレスとの組み合わせを整理します。
モーター数で何が変わるか
| 動く部分 | 向いている方 | |
|---|---|---|
| 1モーター | 背上げのみ(または高さのみ) | ご自分で起き上がれる。介助はほぼ不要 |
| 2モーター | 背上げ+高さ(背+膝の機種もあります) | いちばん選ばれる。介助が入る方 |
| 3モーター | 背上げ+膝上げ+高さ | ベッド上で過ごす時間が長い。ずり下がりやすい方 |
「2モーター」と書かれていても、中身が2種類あります。背+高さなのか、背+膝なのか。高さが動かないタイプを選んでしまうと、介助の負担がまったく減りません。必ず確認してください。
高さが変わることの意味
- 介助者の腰を守る … おむつ交換や体位変換のとき、高くして作業できます
- 立ち上がりを助ける … 低くして足裏を床につけると、自分で立てることがあります
- 転落したときの高さを下げられる
2つ目が見落とされます。ベッドが高すぎて足が着かないと、立ち上がりが不安定になります。足裏が床につく高さまで下げられるかを確認してください。
膝上げ(3モーター)が効く場面
背上げだけをすると、体が足元へずり下がります。これを防ぐのが膝上げです。
順番があります。背を上げる前に膝を先に上げる。これだけでずり下がりがかなり減ります。
そして背を上げた後は、一度背を下げて体の圧を抜く(背抜き)。これをしないと、皮膚がつっぱったままになり、褥瘡の原因になります。
納品時に、ご家族へこの2つを必ず説明してください。機能があっても、使い方を知らなければ意味がありません。
幅と長さの選び方
| 幅 | 特徴 |
|---|---|
| 83cm(ミニ・セミシングル相当) | 狭い部屋向け。寝返りの幅は限られます |
| 91cm(標準) | いちばん流通が多い。迷ったらここ |
| 100cm(ワイド) | 体格が大きい方、寝返りが大きい方 |
| 長さ | 目安 |
|---|---|
| レギュラー(約191cm) | 身長おおむね170cmくらいまで |
| ロング(約205cm) | 身長が高い方。部屋に入るかを先に測る |
幅を広げるほど、介助者がベッドサイドに立つ余地がなくなります。部屋の広さと、介助が必要かどうかで決めてください。
部屋のどこに置くか
- ベッドの片側に、介助者が立てる幅(60cm以上が目安)
- トイレまでの動線 … 起き上がる側をトイレ側に
- 窓とエアコンの風 … 直接当たらない位置に
- コンセント … 電動なので必要。延長コードを引き回さない
- 搬入経路 … 分解して入りますが、廊下の曲がり角は要確認
1番を確保できるかで、介助の負担がまったく変わります。壁に寄せて両側から入れない配置は、あとで必ず後悔します。
マットレスとの組み合わせ
| 状態 | マットレス |
|---|---|
| 自分で寝返りできる | 清拭が容易なタイプ・通常のウレタン。柔らかすぎると寝返りしにくくなります |
| 寝返りが減ってきた | 体圧分散のウレタン |
| ほぼ動けない・褥瘡のリスクが高い | エアマットレス(自動体位変換の機能があるものも) |
| ベッド上で座って過ごす | ずれにくさを重視 |
柔らかければいい、ではありません。沈み込むマットレスは、寝返りができる方の動きを奪います。動ける力を残すという視点で選んでください。
また、マットレスを厚くすると、ベッドの高さが上がります。足が床につかなくなっていないか、納品時に確認してください。
サイドレールとグリップ
- サイドレール … 転落防止。隙間に手足や首が入らないかを必ず確認
- 介助バー(グリップ) … 起き上がり・立ち上がりの支えに。回転させて開けられるタイプが使いやすい
- すきまカバー … レールとマットレスの間を埋める
挟み込みの事故は実際に起きています。マットレスを変えたときは、レールとの隙間が変わります。用具を1つ変えたら、組み合わせ全体を見直してください。
介護保険で借りる場合
特殊寝台と特殊寝台付属品(マットレス、サイドレール、介助バーなど)は福祉用具貸与の対象で、原則として要介護2以上が対象です。自己負担は原則1割(所得に応じて2〜3割)。
要支援1・2、要介護1の方は原則対象外ですが、状態によって例外的に認められる場合があります。「無理」と決めつけず、ケアマネジャーと福祉用具専門相談員に相談してください。
よくある失敗
- 高さの動かない機種を選び、介助者の腰を痛める
- 背を先に上げて、毎回ずり下がる
- 背抜きをせず、褥瘡ができる
- 壁に寄せて置き、片側から介助できない
- マットレスを厚くして、足が床に届かなくなる
- サイドレールとマットレスの隙間を確認しない
よくある質問
Q. 買うのと借りるの、どちらがいいですか
貸与をおすすめします。状態が変わったときに、モーター数やマットレスを変えられるのが最大の利点です。介護ベッドは大きく、処分にも費用がかかります。
Q. 普通のベッドではだめですか
自力で起き上がれる間は問題ありません。介助が入るようになったら、高さが変えられることの意味が大きくなります。
Q. 家族が組み立てられますか
組み立てと設置は事業者が行います。ご家族が行うものではありません。移動が必要になったときも、自分で動かさず相談してください。
Q. 誰に相談すればいいですか
ケアマネジャーと福祉用具専門相談員です。カタログではなく、部屋を見てもらったうえで選定してもらってください。
まとめ
- いちばん効くのは高さが変えられるか。「2モーター」でも中身を確認する
- ベッド上で過ごす時間が長い・ずり下がるなら3モーター(膝上げ)
- 膝を先に上げてから背を上げる。上げた後は背抜き
- 幅は83/91/100cm。迷ったら91cm。介助者が立つ幅60cm以上を確保
- マットレスは柔らかければいいわけではない。動ける力を残す
- マットレスを変えたら、レールとの隙間と足の着き方を見直す
- 貸与は原則要介護2以上。軽度でも例外的な取扱いがあり得る
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ベッドが入っても、実際に起こす・移す・見守る人手は別に必要になります。夜間のトイレ、通院の付き添い、ご家族が外せない用事のあいだの見守り——介護保険では対応しきれない部分が必ず残り、そこがご家族の負担として積み上がります。保険外のサービスで補える範囲を知っておくと、限界が来る前に手を打てます。
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