「手すりをつけたい」と相談を受けて、私はすぐカタログを開きました。
どれがいいか、種類と値段を比べようとしたんです。
でも先輩に「先に、その人がどう立ち上がるか見た?」と言われて、手が止まりました。
見ていませんでした。
手すりは、製品を選ぶ前に動きを見るもの。あのとき教わったことが、いまも一番役に立っています。
今回は、そのあたりを順番にお伝えします。
手すりには、大きく3つの入れ方があります
| 種類 | 取り付け方 | 介護保険での扱い |
|---|---|---|
| 据置型 | 床に置くだけ。工事なし | 貸与(レンタル) |
| 突っ張り型 | 床と天井で突っ張る。工事なし | 貸与(レンタル) |
| 工事で壁に付ける | ねじで壁に固定する | 住宅改修(上限あり) |
ここでよくある行き違いが、「手すり=工事」だと思われていることです。
置くだけ、突っ張るだけのものは、レンタルで使えます。
工事をせずに済むので、賃貸住宅でも入れやすい。ここを知らないまま諦めている方が、けっこういらっしゃいます。
まず見るのは、製品ではなく「立ち上がり方」
同じ「立てない」でも、中身は人によって違います。
少し想像してみてください。ソファから立つとき、どこに力を入れているでしょうか。
- 前に引っぱって立つ人…体の前に、握って引ける縦の手すりが合いやすい
- 横に押して立つ人…体の横に、押せる高さの手すりが合いやすい
- 体を支えながらゆっくり立つ人…広く支えられる面のあるものが合いやすい
この違いを見ずに製品を決めると、付けたのに使われないということが起きます。
私はこれを何度か見ました。手すりがあるのに、結局テーブルの角につかまっている。
置き場所は「動きの線」でたどる
手すりは点ではなく、線で考えると外しにくくなります。
ベッドから起きて、トイレまで。玄関から外まで。実際にその動きをたどってみると、止まる場所が見えてきます。
- ベッドから起き上がる…ベッド用の手すり(サイドレールとは別のもの)
- 立ち上がって歩き出すまで…据置型
- 廊下の途中で一度止まる…そこが手すりの必要な位置
- トイレで座る・立つ…便座の横。工事か据置型か
- 玄関の上がりかまち…段差の高さで縦か横かが変わる
止まっているところ、壁に手をついているところ。そこに手あかが付いていることもあります。
それが一番正直な情報だと思っています。
高さの決め方
数字より、実際に合わせるほうが確実です。
横向きの手すり(歩くときに支える)
自然に立って、軽く手を下ろした位置あたり。高すぎると肩が上がって力が入りません。
縦向きの手すり(立ち上がるときに引く)
座った姿勢から、少し前に体を倒して手を伸ばした位置。ここが握りやすいところです。
迷ったら、ご本人にその場で握ってもらう。これに勝る方法はありませんでした。
据置型で気をつけること
工事がいらないのは大きな利点ですが、注意点もあります。
- 土台の板の分だけ、床にでっぱりが出ます。つまずきの原因にならないか確認してください
- カーペットや畳の上では、沈んでぐらつくことがあります
- 体重をかけて引っぱる使い方には向かないものもあります。押して使うほうが安定します
この1つ目を見落とすと、手すりを入れたのに転倒リスクが増えてしまいます。
私も一度、置いた翌週に「つまずきそうだ」と言われて位置を変えました。
突っ張り型で気をつけること
- 天井の下地が弱いと突っ張れません。マンションの一部や、後から作った天井は要確認です
- 設置後も、定期的にゆるみを確認してください
- 体重をかけて全体重を預ける使い方は想定されていません
よくある質問
Q. 賃貸で、壁に穴を開けられません。
据置型か突っ張り型が候補になります。どちらも工事なしで、レンタルで使えます。まずは福祉用具の相談員に見に来てもらうのがいいと思います。
Q. レンタルと工事、どちらがいいですか?
体の状態が変わりそうな時期なら、私はレンタルをおすすめしています。合わなければ交換できるからです。逆に、長く同じ場所で使うことがはっきりしているなら工事のほうが安定します。
Q. 自分で買って付けてもいいですか?
できますが、先に相談してからのほうがいいと思います。介護保険が使える方法があるのに、自費で買ってしまうケースを何度も見てきました。
まとめ
- 手すりは据置型・突っ張り型・工事の3つ。前の2つはレンタルで使えます
- 製品より先に、その人がどう立ち上がるかを見る
- 置き場所は点ではなく、動きの線でたどる
- 高さは数字より、ご本人に握ってもらって決める
- 据置型は土台のでっぱりに注意する
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手すりを入れても、そこから先の動きを誰かが見ていないと、結局使われないままになることがあります。とくに一人暮らしの方や、ご家族が離れて暮らしている場合です。
介護保険のサービスでは時間や回数に制限がありますが、自費のサービスなら「立ち上がりの練習に少し付き添ってほしい」といった細かい依頼にも対応できます。組み合わせて使うという選択肢もあります。
自費の介護サービス【イチロウ】
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次回は、玄関まわりの段差解消について書く予定です。
まずはご自宅で、ベッドからトイレまで実際に歩いてみるところから始めてみませんか。止まる場所が、そのまま答えになります。
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