「夜だけ、間に合わないことがあって」
そう打ち明けてくださるまでに、半年かかった方がいます。
トイレの話は、ご本人にとっていちばん言い出しにくい話だと感じています。
ポータブルトイレは、置けば解決する道具ではありません。
置く場所と高さを間違えると、まず使ってもらえません。
今回は、選ぶときに見るところと、においの対策までまとめます。
まず、なぜレンタルではなく購入なのか
介護保険では、ポータブルトイレは貸与(レンタル)ではなく購入の対象になっています。
肌が直接ふれるものなので、繰り返し使い回す形になじまない、という考え方です。
購入の場合、都道府県などの指定を受けた事業者から買うことが条件になります。
ネット通販で先に買ってしまうと、あとから対象にならないことがあるので、買う前にケアマネジャーへ一度ご相談ください。
置く場所を先に決める
商品を選ぶ前に、置く場所です。ここが決まらないと、選びようがありません。
- ベッドから手が届く位置…立ち上がって1歩、が理想です
- ベッドの足側ではなく、起き上がる側…降りる向きに置く
- 壁ぎわ…体を預けられるものが横にあると安心感が違います
- 入口から見えにくい位置…来客のとき、ご本人が気にされます
4つ目は見落とされがちですが、使ってもらえるかどうかを左右します。カーテンやついたてを一緒に考えると、ぐっと使いやすくなります。
選ぶときに見る4つ
| 見るところ | 目安 |
|---|---|
| 座面の高さ | 足の裏が床につく高さ。ベッドの高さとそろえると移りやすい |
| 肘掛けの形 | 跳ね上げ式なら、横から移れる。立ち座りは固定式が安定 |
| 重さ・安定感 | 軽すぎると、体重をかけたときに動きます |
| バケツの取り出し方 | 前から出せるか、後ろからか。介助する人の動線で決める |
いちばん大事なのは座面の高さです。
高すぎると足が床につかず、踏ん張れません。低すぎると、立ち上がれません。ベッドの高さと合わせると、移動がとても楽になります。
タイプは3つで考える
- 樹脂製の標準タイプ…軽くて安い。掃除がしやすい。動きやすいのが難点
- 木製の椅子型…見た目が家具に近く、居室になじむ。重さがあって安定する
- 金属フレームのシャワーチェア兼用…浴室でも使える。ただし居室での見た目は道具寄り
長く居室に置くなら、木製の椅子型を選ばれる方が多いです。
「トイレを置いている」感じが薄れるので、ご本人が受け入れやすい。ここは機能とは別の、大事な要素だと思っています。
においの対策は、3つ重ねる
においが出ると、家族が片づけを急ぎ、ご本人が遠慮して使わなくなります。ここは早めに手を打ったほうがいいです。
- バケツに水を少し張る…付着を防げます。専用の凝固剤や消臭液も効きます
- 使い捨ての処理袋を使う…バケツを洗う回数が減り、介助する人の負担が下がります
- ふたを閉める習慣…単純ですが、いちばん効きます
それでも残る場合は、においが染みているのはバケツではなく、便座の裏やフレームの継ぎ目のことがあります。そこを一度しっかり洗うと、ずいぶん変わります。
「使いたくない」と言われたときに
説得しないほうがいいと思っています。
多くの場合、抵抗の理由は道具ではなく、ここまで来たかという気持ちのほうです。
私は、こんな置き方をご提案していました。
- まずは夜だけ…昼はこれまでどおりトイレへ。全部を置き換えない
- ふだんはカバーを掛けておく…見えなければ、部屋の印象が変わりません
- 置くだけ置いて、使うかは本人に任せる…使わない日があってもいい
転倒して骨折すれば、そこから寝たきりになることもあります。夜の1回を減らすことに、それだけの意味があります。
今日のまとめ
- ポータブルトイレはレンタルではなく購入。買う前にケアマネジャーへ
- 商品より先に置く場所。ベッドの降りる側、壁ぎわ、入口から見えにくい位置
- 見るのは座面の高さ・肘掛け・安定感・バケツの出し方
- 居室に長く置くなら木製の椅子型が受け入れられやすい
- においは水・処理袋・ふたの3つを重ねる
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夜のトイレが不安な時期は、ご家族の睡眠が削られる時期でもあります。道具でどうにもならない部分は、人の手を借りるほうが早いこともあります。
介護保険の枠にとらわれず、必要な時間だけ来てもらう自費のサービスもあります。夜間の付き添いや、退院直後の一時期だけ、といった使い方ができます。
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まずは、ベッドの座面の高さを測ってみませんか。そこがそのまま、選ぶときの基準になります。
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